独自分析データ
ANALYTICAL DATA
2025年08月12日
データで見る「がん末期や難病患者向けの老人ホーム」の動き(第2報) 新規開設の約1割がホスピス型、平均月額は12.7万円

株式会社TRデータテクノロジー(本社:東京都中央区 代表取締役 田中幹雄、以下当社)は、昨今急増しているホスピス型住宅※の開設傾向について、2025年1月に引き続き再調査を行いました。結果は下記のとおりです。

当社は介護分野に特化したデータ会社で、全国の介護施設並びに居宅サービスのデータを販売しています。
2025年8月1日には「福祉施設・高齢者住宅Data Base」の最新版をリリースしました。 
※ホスピス型住宅:主に入居者をがん末期の患者などに絞り、専門のケアを提供する民間ホームの通称。主に介護付有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(以下、介護付、住宅型、サ高住)で運営しているケースが多く、行政上の届出や規制は無い。

当社が定義したホスピス型住宅の総数:
 ホーム数 557ヶ所(うち、介護付19ヶ所、住宅型467ヶ所、サ高住71ヶ所)
 定員数 21,595人(うち、介護付959人、住宅型18,296ヶ所、サ高住2,340ヶ所

1)主に「がん末期や難病患者向け」ホームを運営する大手事業者
【業界最大手はアンビス、2位にスタッフシュウエイが上昇】
表1は主に「がん末期や難病患者向け」ホームを運営する事業者のホーム数上位5社である。ほとんどが、がん末期の患者を対象としたホスピス型住宅で、特に株式会社スタッフシュウエイは前回4位から2位に急増している。
なお、株式会社サンウェルズはパーキンソン病専門のホーム「PDハウス」を運営しており、他社とは運営コンセプトが異なる。

2)新規開設ホームに占めるホスピス型住宅の割合
【新規開設ホームの約1割がホスピス型住宅に相当】
図1は、ホスピス型住宅及びその他ホーム※の新規開設ホームの推移と、毎年の開設数に占めるホスピス型住宅の割合を示したグラフである。※その他ホーム:ホスピス住宅以外の要介護者を主な入居対象とした介護付、住宅型、サ高住
2019年以降の新規開設ホーム数は全体で1,000ヶ所未満/年と、ほぼ横ばいで推移している。一方、ホスピス型住宅は年々増加しており、2024年は約100ヶ所が新たに開設された(同年の新設ホームの10%に相当)。

3)ホスピス型住宅のエリア傾向
【約8割が関東エリアをはじめとする東日本で開設】
図2は、全国6エリアにおけるホスピス型住宅の開設地をエリアごとに分類したグラフである。関東エリアが43%と最も多く、次いで北陸・中部エリアの28%と続く。
このように、開発エリアは関東を中心とした東日本が80%を占めており、大きな地域差が見られる(前回調査では関東エリアの割合は40%で、今回調査で3ポイント増加)。

4)ホスピス型住宅の商品傾向
【低廉な月額費且つ小ぶりな居室の住宅型が主流。訪問看護は約半数に併設】
表2は、ホスピス型住宅とその他ホームの商品性を比較した一覧表である。
ホスピス型住宅は約8割を住宅型が占め、その他ホームと比べて月額費が低く、居室面積が小さい傾向が見られた。一方で、平均要介護度はホスピス型住宅のほうが高く、約半数に訪問看護が併設/近接していることが分かった。

参考)緩和ケア病棟の新設数減少が背景に
右図は緩和ケア病棟とホスピス型住宅のベッド数/定員数の累計グラフである。2022年度にホスピス型住宅の定員数が緩和ケア病棟のベッド数を大きく上回った。
ホスピス型住宅の近年の開設傾向は、医療の受け皿である緩和ケア病棟の伸び率の低さも要因のひとつとして考えられる。

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